急性期看護学分野の佐藤智夫助教、角田響介助教らの研究グループが、ICU(集中治療室)で働く看護師のメンタルヘルスと「心理的安全性」の関連についての研究成果を、集中治療領域における世界三大トップ看護雑誌の一つである「Australian Critical Care」に発表しました(2025年10月)。
命に関わる重症患者さんのケアを行うICU看護師は、常に大きなプレッシャーにさらされており、燃え尽き症候群(バーンアウト)やうつ・不安といったメンタルヘルスの不調を抱えやすいことが世界的な課題となっています。
そこで本研究では、チームの中で「安心して発言できるか」「失敗しても責められないか」といった「心理的安全性」が、看護師の心の健康にどのような影響を与えるかを調査しました。
日本の9つの病院のICUで働く看護師132名を対象に調査を行ったところ、「心理的安全性」が高いと感じている看護師ほど、燃え尽き症候群のスコアが低く、うつや不安の症状も少ないことが明らかになりました。
この研究は、より良い医療を提供するためにも、病院組織がリーダーシップをとって話しやすい職場環境を作っていく必要があることを示唆しています。
本研究は、長崎大学、関東学院大学、東邦大学医療センター大森病院、日本赤十字九州国際看護大学、北海道科学大学、久留米大学病院、東京医療保健大学、日立総合病院、宮城大学、近畿大学の先生方との共同研究として実施されました。
佐藤 智夫(急性期看護学分野)
角田 響介(精神看護学分野)
「論文掲載ページ:https://doi.org/10.1016/j.aucc.2025.101480(英文)」

