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空間構築シミュレーターを活用した授業を行っています

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    1.概要

    神戸市看護大学では、国(文部科学省)の令和3年度大学改革推進等補助金(ウィズコロナ時代の新たな医療に対応できる医療人材養成事業)に、実習等に資するシミュレーター等のDX設備整備に選定され、令和4年7月に看護学実習や授業で使用する空間構築シミュレーターを導入しました。

    これは、プロジェクターやカメラを配備した専用壁面により模擬空間を教室内に構築し、病室や手術室、ICU等を再現できるシミュレーターです。本学では、看護学実習室に設置し、構築した模擬空間において、様々な症状を再現できる人型高機能シミュレーターも活用し、地域住民による「教育ボランティア」の協力も得て、シミュレーション教育を行います。

    この空間構築シミュレーターを導入して教育を行っている看護系大学は、全国的ではわずかであり、関西では本学が2校目です。このシミュレーターを活用することで、実習で実際の患者に出会う前の準備学習ができる他、COVID-19感染症拡大により病院や施設での実習が困難になった場合でも、病院や施設などにいるような臨場感で代替実習を行うことが可能となります。

     

    2.シミュレーターを活用した教育の実例

    1)老年看護学プレ実習演習(実施日:7月8日、15日)

     3年生を対象に、Into Aging(高齢者疑似体験)の中で、新型コロナウイルス重症病棟の病室を再現し、 重症化して救急搬送された高齢者の体験を行いました。患者が搬送されてくる場面、看護師が処置をしている姿等を動画や画像で映すとともにモニター音を併せて流すことで、 学生からは「音も空間も本当にその場にいるようで、とてもリアルで怖かった」等の声が聞かれ、加齢に伴う身体的な変化だけでなく、従来の学習方法では気づくことが難しい精神的な側面などの理解も深めることができました。

     

    2)基礎看護学実習の代替実習(実施日:9月5日~10月7日)

     COVID-19感染症第7波の影響で、2週間の病院実習が1週間に制限され、病院実習に行けない1週間をシミュレーターを使用した学内実習としました。

    2年生の学生が初めて患者を受け持つ基礎看護学実習では、シミュレーターを用いて、「患者との最初の出会いの挨拶」「バイタルサイン測定の場面」「臨床指導者への報告場面」「患者への援助の提案」など初めての実習で経験する場面を設定して学習しました。学生は、最初はとても緊張していましたが、シミュレーターを使った学習が、病院での実習の予行演習や振り返り学習になり、とても良かったと感じられました。

     

    3)慢性病看護学実習のプレ実習と代替実習(実施日:9月28日、11月24日)

      いずれの演習も、3年生を対象に行いました。プレ実習では、高齢の術後間もない患者で、トイレに一人で行こうとしたところ血圧が低下したという場面を設定しました。代替実習では、高齢の慢性閉塞性呼吸不全の患者が、酸素チューブをつけずにトイレに行こうとする場面を設定しました。いずれの事例も、一般病棟の4人部屋の模擬空間を作り、さらに患者の状況にあわせてベット周りに歩行器や酸素チューブを使うことで臨床感が増すよう工夫しました。演習を終えた学生からは、「実際に病院にいるような臨場感を味わうことができた・病室の雰囲気を感じながら演習できた」等のコメントがあり、シミュレーターを使った演習の効果を実感しています。

     

    4)4年生を対象とした卒業前技術演習(実施日:12月21日)

     今年3月に卒業を控えた4年生20名が参加しました。4年生はCOVID-19感染症拡大の影響で、いくつかの臨地実習を学内実習で代替しており、患者への援助体験が十分にできていない学生もいました。そうした4年生の学習ニーズに配慮して、新人看護師となったときに遭遇しやすい場面として、「足関節部の骨折のために手術を受けた患者」の清拭(身体を拭かせていただく看護技術)場面を設定して、シミュレーション学習を行いました。

    受講した学生のほとんどが、臨地実習では患者への清拭を体験できていなかったため、「現場での清拭の方法」を改めて確認できたようでした。4年間学習していても、卒業と同時に看護職として責任をもって実践することへの不安はほとんどの学生が抱いています。このシミュレータを使った学習を経験した学生は、卒業後の臨床実践に役立ちそうだと感じていたようで、実践現場に出る前の不安の軽減に少しでも役立てたことはとても良かったと思います。

     

    3.今後の予定

     今年度は、主に学部学生の教育に活用してきましたが、今後は地域の訪問看護ステーションで働く看護師の研修や大学院生の授業にも活用する予定です。また、本学近隣の大学・専門学校、病院などに所属する看護学生・看護師の学習にも活用していただけるように、このシミュレーターの利点を活かした様々な授業・演習を検討しています。

     

    参考1 空間構築シミュレーター(スマートインフィル)

     

    参考2 老年看護学での演習の様子

     

    参考3 基礎看護学実習代替実習の様子

     

    参考4 基礎看護学実習での洗髪の様子

     

    参考5 卒業前技術演習の様子

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