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教員座談会 「いちかんで学ぶということ。」

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看護管理学教授・入試小委員会 林 千冬
基礎看護学教授・学生部長 石原 逸子
慢性病看護学教授・学長 鈴木 志津枝
解剖学教授・入試委員長 渡辺 定博
小児看護学教授・副学長 二宮 啓子

本気で学びたい学生には最高の環境

神戸市看護大学とは。

鈴木
まず、実践力を持つ人材の育成が本学の一番の特徴であり、目標ですね。 その看護実践力を身に付けるために、実習など様々な機会を用意しています。 もちろん、1年次から実践の基礎となる技術教育をはじめ、各専門分野、教養分野の教育を行い、集大成とし て総合実習へと進めていく系統的な教育を確立しています。 また、 講義と実習の指導者が連携を図りながら、きめ細やかな指導を行っ ているところも本学の強みですね。
二宮
学長が言われた看護実践力を身に付けた即戦力となる看護師の育成は、神戸市が本学に期待しているところでもありますよね。 さらに本学は地域貢献にも重点を置き、住民と一緒に本学の学生を育てていくいくつかの教育プログラムも進行しています。 また、大学院の博士前期課程(修士)・後期課程(博士)があり、学問の体系づくりのできる人材の育成という点では、看護界にも貢献できると思います。
石原
この度、文部科学省が推進する「知(地)の拠点整備事業」※1に本学が採択されました。二宮先生が言われていたように、現在も地域住民との協力体制はありますが、それをより充実させた形で、今年度後期から全学あげて取り組んでいきます。 《※1 知(地)の拠点整備事業・・・地域コミュニティの中核的存在としての大学の機能強化を図る文部科学省が推進する事業。応募総数391校の中から52校が採択された。》
地域貢献という点では、神戸市民病院群※2に多くの卒業生が勤務していますね。また、私の専門は看護管理学ですが、設置している大学は多くはありません。看護界を改革する人材を育てたいという主旨から、管理学や教育学という幅広い講座を設けていることも本学の特徴だと思います。《※2 神戸市民病院群・・・地方独立行政法人 神戸市民病院機構が運営する医療センター中央市民病院(神戸市中央区)、医療センター西市民病院(神戸市長田区)、西神戸医療センター(神戸市西区)をさす。》
渡辺
最近「総合大学は他学部の学生と交流でき、良い学生生活が送れる」というようなことを耳にしますが、逆に単科大学である本学は、看護にどっぷりつかれる大学。全ての教職員が看護教育という一つの目標に邁進しているのですから、看護を本気で学ぼうとする学生にはとても良い環境が用意されていますよね。

地域交流から学ぶ、エモーショナル・インテリジェンス

地域のみなさんとの交流、ボランティア活動などについて。

学生のモチベーションを上げるために大学側から仕掛けているのは、地域貢献となるボランティア活動。ボランティアの情報を頻繁に学生に伝え、機会を与えるようにしています。
二宮
大学の中にもボランティア活動の場を用意していますよ。昨年開設した「コラボカフェ」※3では、学生が子育ての場でお母さんと子供に関わることができ、「まちの保健室」では、子育て支援やもの忘れ看護相談などを行い、地域の方々と関わることができます。 他には、住民の方に教育ボランティアとして授業に参加していただきます。 患者さん役を演じてもらいアドバイスをいただくんです。看護師の成長には、人間としての成熟が求められます。このような人とのふれあいの中から、私たちの指導とは異なる多くのことが学べると思うのです。《※3 コラボカフェ・・・平成24年4月より学生会館の一部を利用し、子育てカフェとして開設。地域の親子が集い、子育て支援拠点として機能する。》
石原
エモーショナル・インテリジェンスと言われる、心を上手に使っていく力が大切なんですね。 看護は専門知識と情動的知性の両方を必要としますから、バランス感覚のある人材が求められます。 ですから、人への理解力とコミュニケーション能力は基本だと思います。 この辺りに基礎の看護学が大きな力を発揮するわけです。
渡辺
学生は忙しいカリキュラムにも関わらず、いろいろなクラブに入り、しかも先ほどのボランティア活動に多く参加しています。 かなり労力のいることだとは思うのですが、アクティブな学生が多いのも本学の空気感のような気がします。

卒業生を支える、“市看(いちかん)の看護”というアイデンティティ

卒業生の声から思うことは。

石原
今年の「ホームカミングデイ」※4では、市看(いちかん)で良かったという声を多く聞きました。私は他の大学に勤務していたのですが、「大学を誇りに思う」という声は案外聞かれないものですよ。 他に卒業生の言葉から感じるのは、本学の4年間には看護という一つのアイデンティティが貫かれていて、その“市看(いちかん)の看護”というものがいつの間にか学生の中に培われているようなのです。 ですから、社会人になって少々ストレスがあっても、「負けないぞ。看護をやれるんだから」という強さが身に付いている印象を受けます。 自分の中に、核になるもの、信じていける確かなものがあれば、様々な困難を乗り越えられるということだと思います。《※4 年1回、卒業生が母校に集う日。卒業後の進路、現状などを報告し合い、楽しく過ごす。》
鈴木
今はどこの病院でも患者さんの在院期間が短くなり、看護という視点で関わることが難しくなっています。 ともすれば仕事に流されてしまい、自分は何をやっているのかという思いになることもあるようですね。 ある卒業生が新人ながらいろいろと考えて患者さんと接した時に、自分は看護師であるという自覚と看護の喜びを実感したそうです。神戸市看護大で学んできたことをこれからも大事にしていきたいと話していて、私も嬉しくなりました。

循環型教育の実現、キャリアップにつながる大学院

看護系大学でも数少ない、博士課程を有する大学院について。

鈴木
大学院が目指しているのは、高度看護の実践者、研究者、教育者の育成です。大学も実践力の育成を重視しており、継続性と考えています。
博士課程を持つ大学院は県内で3校だけです。大学でしっかり看護を学んだ学生が病院などの看護の現場を経て、博士前期課程(修士課程)、さらに博士後期課程 (博士課程)へと進み、再度現場へ、また研究者や教育者として大学へ戻るなどの循環型教育の実現が、看護の発展につながっていくと思います。
石原
大学ができてまもなく20年、そろそろ卒業生が帰ってくるようにもなりましたね。 「市看の大学院は厳しい」との評価もあるようですが、厳しい中にも丁寧で高度な指導があると、修了生からは聞いております。ただ厳しい中にも丁寧で高度な指導があると修了者の評価は高いのです。 私はそのことを誇りに思いますし、本学の特徴として大切にしていきたいと思っています。
最近はすでに大学入試の面接の段階で「大学院で学びたい」とか具体的に「がん看護学を学びたい」という人もいます。 実践経験も必要との考えから、大学卒業後すぐに大学院に進むことは本学では推奨していませんが、 すでに高校生からそのように将来のビジョンを掲げる人もいて頼もしく思っています。
石原
博士前期課程(修士課程)で看護のプロセスをミクロな形で分析し、自分が体験した看護を体系づけることは意味のあることだと思います。本学で看護学を学ぶことにおいては、いい刺激になっているのではないでしょうか。
二宮
入学前はそこまで考えていなくても、本学で学ぶ中で大学院での研究や大学院生の存在を知ることで、広い視野を持つきっかけになり、キャリアアップの機会と認識するのでしょうね。
二宮
保健師や助産師志望の学生も増えてきていますよね。
7年前に博士後期課程(博士課程)を設立した時点で、矢田神戸市長(第15代)は本学が完成形だとおっしゃっています。 小さな大学ですが、看護大学、教育機関として優れた人材を輩出しているのではないでしょうか。 大学院の存在は、神戸市だけに留まらず、近畿圏の広範囲での人材育成という部分で大きく貢献していると思います。

最後に、神戸市看護大学が目指しているのは。

鈴木
卒業生が活躍し、大学が常にアクティブであること。 常に夢を持って、現状に満足せず、大学をステップアップにも使ってもらいたいですね。 そのためには、正しい評価を行い、学生の状況を十分に把握し、また個々が能力を伸ばせるように教育方法を改善するなど、教育の現場も常に進化していかねばなりません。 そして、アクティブであろうとする在校生や卒業生を支えていくことが、私たちの役割だと思っています。

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